背骨は、通常33個の椎骨を縦に積み重ねたものです。
7個の頸椎の下には、12個の胸椎、5個の腰椎、5個の仙椎が融合した仙骨、4個の尾椎が融合した尾骨があります。
人間の背骨は真横から見るとS字を描いてくねくねと湾曲しています。
頸椎は前方にカーブしていますが、胸椎は後方へカーブし、腰椎は再び前方に仙骨・尾骨は後弯にカーブという具合にです。
このカーブは「生理的湾曲」と呼ばれており、背骨全体で体重を分散させながら、外から加わる衝撃を和らげています。

頸椎や腰椎の前弯は頭や上半身の重み、地面からの衝撃などを吸収する役割があります。
また、直立二足歩行するために必要だったのではないかと推測されています。
胸椎、仙骨の後弯は肋骨と共に臓器の保護のためと考えられています。
このカーブが乱れると頭痛、肩こり、腰痛のような症状が出てきます。
背骨のゆがみによる影響
背骨は一つ一つの骨の絶妙なバランスによって、身体の可動域が生まれ、自由に動けます。
また、背骨の中心を通っている脊髄も守っています。
それらのバランスが崩れることでどのような影響があるのか説明していきます。
1.姿勢の変化
背骨、骨盤がゆがむことで、姿勢に変化が見られます。
猫背・反り腰・身体の左右の傾きやねじれがあるということは骨格などの位置のゆがみや、筋肉に過度の伸張や収縮があるという状態であり、最大限に身体の可動域を生かせない状態であるということです。
身体の可動域の少ない箇所があると、そこの動きを代償するためにほかの箇所に過剰なストレスがかかることがあります。
例えば腰痛の原因が肩甲骨の可動域の減少によって引き起こされることもあります。
そのようなストレスが長い間続くことで筋肉、神経、血行などに異常をきたし、慢性的な肩こりや腰痛、四十肩、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、冷え性やむくみなどの症状が身体に現れてきます。
2.内臓機能の低下
背骨、骨盤がゆがむことで、内臓が圧迫されたり、血液の流れが悪くなることで、内臓機能の低下につながります。
逆に内臓機能の低下も背骨のゆがみを引き起こす原因になると考えられます。
内臓機能が低下するとその中で機能維持をしようとします。その時に身体をゆがませることで機能維持をしようとするという考え方もあります。
それが長く続くことで、消化不良、生理不順、便秘、代謝の低下、むくみ、体が重だるいなど、さまざまな症状が現れてきます。
3.自律神経などへの影響
骨盤の歪みと自律神経との関りは、人それぞれ生活の仕方が違うので一概には言えません。
しかし、骨格のゆがみが、身体を支えている筋肉に過剰な緊張を生み、自律神経に悪い影響を与えることも事実です。
自分で意識して動かしたり、コントロールできない臓器(心臓・肝臓・血管・リンパなど)を司るものが自律神経です。
自分意思で動かせない分、自律神経の乱れは大変重要なものになります。
自律神経は背骨の中のの脊髄を通り、守られています。背骨がゆがめば脊髄にも影響が及びます。
この結果、脊髄を通っている自律神経に影響を与える可能性は非常に高いと言えます。
壁を使った背骨のカーブのゆがみをチェック
首がズレている人は、おそらく背骨全体もズレています。
背骨は、頸椎が前へ、胸椎が後ろへ、腰椎が前へカーブする、緩やかなS字カーブを描くのが自然です。
しかし、デスクワークや運動不足が続く現代人では、このS字カーブが崩れやすく、肩こりや腰痛をはじめとする、全身のトラブルの引き金となります。
自分の背骨がどういう状態なのか知るために有効なのが壁際でのチェックです。
かかとをくっつけて、爪先を少し開いて壁に背を向けて立ち、両腕を体側に下げたら、かかとから頭まで壁にピッタリつけてください。
かかと、お尻、後頭部が力まずに壁にぴったりついて、真横から見た時に耳の穴、肩、股関節、膝、くるぶしが床と垂直に並び、首と腰に少し隙間があるのが目安の一つとなります。

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